近年、アニメの舞台を訪れる聖地巡礼という言葉は一般的となり、海外からもアニメの聖地を訪れる観光客が増えています。アニメがヒットした場合、アニメの舞台となった地域に大きな観光需要をもたらすので、自治体でも積極的にアニメとコラボしたイベントを開催することで積極的に観光客を増やしたり、地域おこしに活用したりしています。
アニメ聖地巡礼の始まり
ここで1つの疑問ですが、そもそもアニメの聖地巡礼というのはいつぐらいから始まったものでしょうか。アニメの聖地巡礼がいつから始まったかは、定かではなく正確な情報は有りません。ただ、アニメの舞台となった情報がでてから、ファンが現地に行ってアニメと同じ構図の写真を撮ったりする昔からあります。ここ20年近くをさかのぼると「おねがい☆ティーチャー(2002年)」「苺ましまろ(2005年)」「らき☆すた(2007年)」などの作品においては、現地を訪れるファンが多くニュースにもなったことがあります。
そして、1990年代にアニメとなったとある作品舞台となった場所があり、そこに多くのファンが訪れるようになった場所があります。その場所には「アニメ聖地巡礼発祥の地」と呼ばれています。
アニメ聖地巡礼発祥の地 記念碑
アニメ聖地巡礼発祥の地と呼ばれている場所は、長野県上伊那郡飯島町田切のJR飯田線の田切駅です。ここは1991年に公開されたOVAアニメ「究極超人あ~る」で登場した場所で、田切駅から伊那市駅までを自転車で走り抜ける場面が印象的であり、それから多くのファンが田切駅を訪れるようになりました。
そして、ファンからの寄付を募り、2018年7月に田切駅前の駐車場に「アニメ聖地巡礼発祥の地 記念碑」が建てられました。
アニメ聖地巡礼発祥の地 記念碑(表)
ファンからの寄付で建てられたと聞いていたので、朽ちたりしていないか心配だったのですが、しっかりとした記念碑でした。
アニメ聖地巡礼発祥の地 記念碑(裏)
記念碑に「究極超人あ~る」の作名が刻まれていないのは、色々な事情があるそうです。
名作「究極超人あ〜る」
「究極超人あ~る」は、1985年から1987年にかけて『週刊少年サンデー』(小学館)で連載された「ゆうきまさみ先生」による漫画です。私立春風高校を舞台として、「光画部(写真部)」の生徒やOBたちとのドタバタとした出来事を描いた学園コメディです。
引用元:OVA「究極超人あ~る」
©ゆうきまさみ原作/小学館・バンダイビジュアル 1991
1991年にOVA「究極超人あ~る」が発売されました。OVAでは、光画部のメンバーが飯田線のスタンプラリーに挑戦しています。そして、終盤ではJR飯田線田切駅から伊那市駅までの約17㎞を自転車で1時間で疾走する様子が描かれています。
JR飯田線「田切駅」
JR飯田線は、長野県上伊那郡辰野町の「辰野駅」と愛知県豊橋市の「豊橋駅」とを結ぶ、JR東海の鉄道路線です。線路は静岡県内陸部を通り天竜川に沿って敷かれているため、南アルプスの山々や、天竜川の渓谷を見ながら電車の旅を楽しむことができます。
田切駅は、長野県上伊那郡飯島町にある飯田線沿線の無人駅です。元々は、現在の駅の位置より150mほど北にありましたが、安全上の問題で、1984年に現在の場所に移転されました。
ホーム
田切駅は無人駅のため、ホームには待合室を除き何もありません。アニメと比べても昔の風景がそのまま残っていました。
待合室
待合室は、1998年に設置されたものです。室内にはベンチがおいてあるだけのシンプルなものですが、周りに雨宿りできるところがないため、雨の日には重宝します。
待合室
引用元:OVA「究極超人あ~る」
©ゆうきまさみ原作/小学館・バンダイビジュアル 1991
待合室には、訪れたファンが記念に書き込むファンノートがありました。
階段
田切駅のホームから下に降りる階段です。田切駅は築堤上にあるため急な階段を下る必要があります。階段の下から見る田切駅は、なんとも言い難い雰囲気が出ていました。
引用元:OVA「究極超人あ~る」
©ゆうきまさみ原作/小学館・バンダイビジュアル 1991
田切駅前
田切駅前は、住宅や寺がある以外は特に商店のようなものはありません。駒ケ根市寄り100mほど進むと、旧田切駅があった場所に石碑が建っています。
引用元:OVA「究極超人あ~る」
©ゆうきまさみ原作/小学館・バンダイビジュアル 1991
田切駅降りてすぐの線路下です。トイレは新しくなっていますが、昔の風景がそのまま残っています。
引用元:OVA「究極超人あ~る」
©ゆうきまさみ原作/小学館・バンダイビジュアル 1991
場所
東京方面から車で行く場合は、中央自動車道の駒ヶ岳スマートICで降りると10分ほどで田切駅につきます。時間が取れる方はぜひ、JR飯田線で風景を眺めながら訪れてほしいです。
JR飯田線 田切駅
〒399-3701 長野県上伊那郡飯島町田切
(訪れた日:2023年3月1日)
イベント「轟天号を追いかけて」
OVA「究極超人あ~る」の終盤では、スタンプラリーを終えて18時までに伊那市に到着するはずが、誤って「田切駅」で下車してしまい、電車では間に合わないことに。そして、「R・田中一郎」の自転車「轟天号」を無理やり10人乗りに改良して、1時間以内に伊那市駅を目指すというシーンが描かれました
そして、2012年に伊那市駅開業100年記念のイベントとして、「究極超人あ〜る」を再現するとして田切駅から伊那市駅までの約17.5kmを自転車で走るイベントが開催されました。
1回限りの企画でスタートしたイベントですが、2012年以降も毎年開催されるイベントとなりました。(2020年~2021年はコロナで中止)
「田切駅→伊那市駅 1hour Bicycle Tour“轟Ten号を追いかけて10th 2023”」
今年2023年も7月にイベント「轟Ten号を追いかけて10th 2023」が開催されるそうです。
イベント名:「田切駅→伊那市駅 1hour Bicycle Tour“轟Ten号を追いかけ10th 2023”」
(主催者)
轟天号を追いかけて実行委員会
(伊那市役所自転車部“Cycle 倶楽部R”と賛同者)
(協 力)
石上山聖徳寺
田切ネットワーク
下村のおばちゃん
飯島町
田切区
伊那まちの再生やるじゃん会
北原眼科
(開催日時)
令和 5(2023)年 7 月 29 日 土曜日 16 時 30 分~18:20
(場所)
JR東海飯田線 田切駅前
(参加費)
無料
自転車で参加される場合は、事前に参加申し込み(誓約書の送付)が必要となります。また事前に主催者からアナウンスされている注意事項をよく読んでから参加されてください。
ファンたちで結成された「田切ネットワーク」
田切駅は無人駅にも関わらず、とても綺麗でファンノートも定期的に交換されていました。誰か管理している人がいるのかなと調べましたところ、「田切ネットワーク」という名前を耳にしました。「田切ネットワーク」は、1993年に「究極超人あ〜る」のファンによって結成されたグループ?で、現在でも定期的に待合室や駅周辺の清掃活動を行っていらっしゃるそうです。田切ネットワークの方たちのおかげで、今でも多くのファンが訪れることが出来る場所となっていると思います。本当にありがとうございます!!!!
田切ネットワーク
Webサイト:http://tagiri.net/
OVAの発売から30年以上経過しても愛される作品と聖地。
多くの方の努力によって、維持されています。
訪れた方で落ちているゴミを見つけた方は、ぜひ拾って持ち帰ってください。
引用元:OVA「究極超人あ~る」
©ゆうきまさみ原作/小学館・バンダイビジュアル 1991